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水分子の挿入

電子密度ファイル

 水分子の挿入には、通常、2fofcマップ、fofcマップの二つの電子密度が必要になる。
 X-Solvateの起動前に、この二つのファイルを「電子密度の表示」 の手順に従って、mbkファイルに“Import”し“Open”する。

X-Solvateの起動

 X-Solvateは、水分子に該当する電子密度を探索し、水分子を挿入することができる。
 起動は以下の通り。

  1. “QUANTA”メニュー“Applications”→“X-Solvate”を選択(図3.1.1)。
    ⇒ “Choose search map”が表示(図3.1.2)
  2. fo-fcマップを選択(図3.1.2では“kn_B1_refine_fofc.mbk”)し、“OK”。
    ⇒“QUANTA”画面に対称分子が表示され、新たに“Search for peaks”パレットが展開する(図3.1.3)。


(図3.1.1) “QUANTA”メニュー“Applications”


(図3.1.2) “Choose search map”


(図3.1.3) X-Solvateの起動

 水分子の探索、挿入は“Search for peaks”パレットを用いて行う。

探索条件の設定

 “Change for search setting...”で、水分子としてピックアップする電子密度を設定する。
 通常は、3.0シグマ以上の強度を示す電子密度(fo-fo map)に設定する。

  1. “Search for peaks”パレット“Change for search setting...”をクリック。
    ⇒“Peak search paramerters”(図3.1.4)が表示。
  2. “Min density level (sigma)”を“3.0”にして“OK”。

 以上の操作で、3.0シグマ以上の強度を示すfo-fo mapのピークが、水分子の候補をして選択される。

 “Min density level”以外のパラメータはdefault設定で特に問題はないが、以下のパレメータには若干の注意が必要。


(図3.1.4) “Change for search setting...”

“Min distance to protein”
 蛋白質との距離の最短値を設定する。距離を短く設定すると、アミノ酸残基の電子密度を認識することがある。
 PDB登録の際、近傍原子との距離が2.2Å以内の水分子には警告がでる。
“Max distance to protein”
 蛋白質との距離の最長値を設定する。距離を長く設定すると、Symmetryの位置を認識することがある。
 PDB登録の際、近傍原子との距離が3.5Å以上離れている水分子には警告がでる。

水分子の探索・挿入

 水分子の探索は“Search for waters”で、挿入は“Save as water”でそれぞれ行う。

水分子の探索

  1. “Search for peaks”パレット“Search for waters”をクリック。
    ⇒“QUANTA”画面に電子密度が表示され、水分子の候補となる電子密度に白十字が表示される(図3.1.5)。
     “Search for peaks”パレット上の各メニューが実線表示され使用可能になる。
     また、“QUANTA”画面下メッセージラインに探索されたピーク数が表示される(図3.1.6)。

(図3.1.5) “Search for waters”の実行

(図3.1.6) メッセージライン
 水分子の候補となる電子密度が計140同定され、現在ポインターが位置する電子密度の強度が6.5であることを示している。

水分子の挿入

電子密度の表示
 水分子挿入の際は、fo-fcマップの強度(3.0シグマ以上)に加え、
・2fo-fcマップの強度: 1.0シグマ以上
・2fo-fcマップの形状: 水分子を含むのに十分な大きさ
などを参考にする。
 「電子密度の表示」の手順で、2fo-fc マップを1シグマ表示、 fo-fcマップを3シグマ表示(図3.1.7)にしておくと、次の作業がしやすくなる。

(図3.1.7) “Maps Management”

“Save as water”
  1. ポインターが位置する電子密度を確認(図3.1.8左)。
  2. 水分子と判断できれば“Search for peaks”パレット“Save as water”をクリック。
    ⇒赤十字で水分子(酸素原子)が表示(図3.1.8右)。
     *挿入を取り消す場合は、“Delete water”をクリック。
  3. “Next peak”で次の電子密度へ移動し、(2)を繰り返す。
    *前の電子密度へ戻るには“Previous peak”。
 “Save all peaks”をクリックすると、探索された全ピーク(例では140ピーク)に水分子が挿入される。
 が、探索されたピークには測定誤差も数多く含まれているため、一つ一つ確認していく方が無難。

(図3.1.8) 水分子の挿入
ピンク:2fo-fc map(1.0シグマ表示)
水色:fo-fc map(3.0シグマ表示)

結果の保存・X-Solvateの終了

 挿入した水分子の情報は、X-Solvateの終了により構造ファイル(msfファイル)として保存される。

  1. “Search for peaks”パレット“Exit”をクリック。
    ⇒X-Solvateが終了。
    *“Quit”をクリックすると、水分子の探索結果を保存せずに、X-Solvateが終了する。
  2. “Molecule Management”に“searchwaters”が表示(図3.1.9)。
    *新規作成された構造ファイル“searchwaters.msf”に同定した水分子の情報が保存される。

(図3.1.9) “searchwaters”
“Atom”欄に保存した水分子数が表示。

 なお、“searchwaters.msf”は最初にX-Solvateを実行した場合のみ作成される。
 二回目以降のX-Solvateでは、タンパク質などとまとめられた一つのmsfファイルとして保存される。



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